個人情報ダダ漏れな世の中
先日発覚したベネッセの個人情報流出問題に続いて発覚したオムロンの駅乗客映像の無断流用の問題。
今の世の中、自分のあずかり知らない所で個人に関するデータが流出、流用されているといっても過言ではなくなってしまいました。
そんな中、ギズモード・ジャパンにこんな記事が掲載されていました。
ビッグデータは都市を変える? ソーシャルシティ東京、この夏始動します : ギズモード・ジャパン
この記事によると、東京でソーシャルシティプロジェクトが始動すると、電通国際情報サービス(ISID)の渡邊信彦氏から発表がなされたそうです。
乗るしかない このビッグデータに
ビッグデータ? or 個人情報?
最近、よく聞くビッグデータ*1なる言葉。
今回の計画はこのビッグデータをうまく活用して、個人にベストマッチした情報をリアルの場所でも提供するという都市計画のようです。
実際にグランフロント大阪には36個ものサイネージが設置されていて、これの利用履歴やユーザのSNSを紐付け、ディスプレイに友人のレコメンド投稿などが表示されたりします。このビッグデータはサイネージの操作履歴、ポイントカードの使用履歴、SNSの投稿などリアル・ネット双方からアプローチされた情報がつまっています。
引用:
確かにレコメンド機能により広告や情報が独自に最適化されることは理に叶っている、実際にECサイトの多くで使われていますが、あまりにも最適化することを目的化しすぎてしまって、データ取得の問題に関してはおざなりに、特にリアルな場でのデータ取得、表示については慎重さが足りないのでは?と思うのです。
実際にこのデジタルサイネージの表示を見たわけではないのでハッキリとは言えませんが、ポイントカードの使用履歴や、SNSの投稿に関連した情報を一緒に行動している友人に見られたくない人もいるでしょうし(もちろん本人が最初からデータ連携を拒否する選択肢があることも前提としてはいますが)、オムロンの駅乗客映像の件のようにリアルの言動が監視されていて、データ化された後に勝手に分析されているということも事実です。
試みとしてはとても面白い、個人的にも興味深いのですが、そこに至るプロセスがまだまだ成熟していないなとも感じます。
落ち着いて慎重に・・・
ビッグデータという名のもとに
今回のオムロンの件でいえば「犯罪・テロ対策、抑止のために」不審行動の情報を取得、分析したという大義名分こそあれど、「勝手に流用した」ことはやはり悪いと言えます。
では、勝手に流用したのではなく、依頼元から許可を得た上で用途がそうでなかったとしたらどこまで許されるのか?どこまでのデータが個人情報としての扱いになるのか?肖像権やプライバシーの権利は?そもそもデータの元である市民には何もお伺いを立てていないのでは?という問題を過分に含んでいると私は考えます。
SNS(特にFacebook)の普及に伴い、以前に比べ実名登録はかなり抵抗が薄れている背景もありますし、個人情報の取り扱いについてこんなことを言うのは今更感がある(既にこの手のデータは勝手に使われていて、今回はたまたまバレただけ)とは思いますが、こうしたビッグデータの名のもとに不義理を働くことは自分たちの研究、業務を貶めるどころか行動を制限してしまいかねません。
マーケティングに携わる者として、いや、一人の市民としても慎重にかつ誠実に行動して欲しいと願うばかりです。
*1:従来のデータベース管理システムなどでは記録や保管、解析が難しいような巨大なデータ群。明確な定義があるわけではなく、企業向け情報システムメーカーのマーケティング用語として多用されている。