集客という共通の課題
「多くの人に見られたい(利用されたい)!」
企業のサイトに限らず、一般の人でも自分でサイトやブログを開設していれば誰しもが思うことでしょう。
一般ブログならそれよりも「人とコミュニケーションしたい」というものから、「アフィリエイトで儲けたい」というものや、「承認欲求を満たすことでアイデンティティを確立したい」など多種多様の理由があります。
ただ、その目的を満たすためにはやはり新規ユーザーを集めることが必要であり、それが永続的な課題でもあります。
(そのため常にPVを増やすことに躍起になる、「PV至上主義」に走ってしまうのはよくあることです。)
今回、『ネットショップ担当者フォーラム』のエントリー「新規顧客の開拓に苦労しているEC事業者が多いのはなぜ? | ネットショップ担当者フォーラム」を題材に、一般ブログが陥りがちな間違った施策について私なりの雑感をまとめてみます。
また、元記事はEC事業者向けについて書かれたエントリーではありますが、「新規顧客の開拓という課題」を抱えている全てのサイトに通じることでもありますので是非ご覧ください。
いらっしゃい!ようこそ!
新規顧客の獲得方法
各種ネット広告やSEO対策、最近ではコンテンツマーケティングやオムニチャネルマーケティングなど、新規顧客を獲得するための取り組みに継続的な投資が行われています。その一方で、多くのEC事業者は口を揃えて「新規顧客獲得」を事業運営上の一番の課題としてあげ続けています。
(中略)
しかし、多くのサイトでは「新規顧客獲得」に苦戦しています。注力しているはずの施策の成果がなかなか見えてこない……はたして本質的な問題はどこにあるのでしょうか?
引用:
広告やSEO、今ならコンテンツマーケティングで集客を図るのはECサイトに限った話ではありません。
その他全てのサイト(ブログ)でもSEOを意識し、ユーザーにとって有益な情報を提供するコンテンツを作ることでコンバージョンに繋がるようにと力を注いでいるのではないでしょうか。
かくいう私もそうであり、当ブログではそれを強く意識してコンテンツを作成しています。
(おかげで検索流入によって多くの新規ユーザーを獲得し、ブログを通して仕事も獲得出来ています。)
しかし、多くのサイトではなかなかその通りの結果にはならず、私にも「どうしたらよいのか?」という相談が舞い込むことが多々あります。
(私の見る、知る限りでは)そのようなサイトには大きな間違いがあり、落とし穴が存在します。
次の章ではその落とし穴についてお話しします。
落とし穴に落ちないように。
改善施策における致命的な落とし穴
ECサイトを運営する担当者にとって、今までの集客施策を続けることは容易なことかもしれません。実はそこに、どんなにお金を突っ込んでも売り上げの拡大策を阻害する“落とし穴”が存在しているのです。
この事実を直視せずに、集客偏重の施策にばかり手をつけているといつまでたっても本質的な問題解決はできません。
(中略)
「ROAS」を最大化させるために、「どれだけ多くの訪問者数があるのか」といった流入に関するKPIだけではなく、サイト流入後に存在する商品購入までの長いステップを総合的に捉え、売り上げを伸ばすための施策を実行することこそがEC事業者のやるべきことなんです。
引用:
「ROAS(投資対獲得売上率)」の説明は元記事に委ねるとして、ここでの問題、落とし穴はECサイトが「どれだけ多くの訪問者数があるのか」といった流入に関するKPI(重要業績評価指標)に拘りすぎて失敗していることです。
流入に関するKPIと言えば一番分かり易いのはPVであり、かつ誰もがKPIに設定しているのではないでしょうか。
もっと言えばPVをKPIにしているどころか、PVを「目的」にしてしまっているサイト、特に一般ブログではPVばかりを気にしすぎている傾向があるのではないでしょうか。
肝心のコンテンツを充実させることに力を注がず、PVなど数字ばかりを気にしてしまうこと。
これがうまくいかないサイト、一般ブログの落とし穴(間違った施策)でもあります。
【コンテンツマーケティング】成果を明確にするためにもKPIを決めて報告しよう - 検索サポーター
PVを目的にしてしまうと自ずとPV至上主義になることはもちろん、そのPVを集める手段であるSEOやコンテンツマーケティングすらも目的にしてしまうことがあります。
SEOは検索エンジンから多くの人に周知し、コンテンツを閲覧してもらう機会を増やす方法、施策であり、コンテンツマーケティングはコンテンツを活用したマーケティング手法、施策です。
(例のECサイトであれば、閲覧した先に商品の購入というコンバージョンがあり、それが目的となります。)
どちらも「ユーザーがコンテンツを閲覧した先に行動を起こすことを目的とした手段」なのですが、その手段を目的にしてしまうことで失敗してしまうのです。
コンテンツの先の「人」を見ていますか?
ちゃんと人を見ていますか?
また、そういった形にならないものが目的となる、例えば前述のように「人とコミュニケーションしたい」「承認欲求を満たすことでアイデンティティを確立したい」というような(広い意味で)ブランディングが目的となることもあるでしょう。
ただし、どちらにおいても言えることは「それを測るための指標、数を集めることを目的にしてしまうと決してうまくいかない」ということです。
目的が「交流し、認めてもらうこと」であった筈なのに、「数を増やすことが目的」に変わってしまっている人は結構いるものです。
(数が増えれば満たされると言うのであれば、それは「自己満足」が目的です。)
見るべきなのは数ではありません。
その数を構成する「生身の人間であるユーザーに真摯に向かうこと」こそが目的の達成に近づく方法です。
もちろん目的が変わることもあるでしょうし、目的が変わっても結構です。
ですが、「目的が後付け」となってしまうと、途中からその目的に向けての軌道修正が必要となりますし、もちろんそこからの施策も変わってくることを理解しておいてください。
【ブログ運営】中小企業のWeb販促における3つの悩みからメディアの目的を持つことを考える - 検索サポーター
内輪だけで盛り上がってもねえ・・・
それは「一見さん」が見て喜ぶコンテンツですか?
当社ではよく、バケツを例にして説明しています。まず、サイトがバケツだと仮定しましょう。そこに水(訪問者)を流し込んでも、バケツに穴が開いていたらせっかくの水(訪問者)は流れ出してしまいます。さて、結果的にどうなるか。少しの水しか残りませんよね。
実はこれ、広告経由の新規訪問者に限った問題ではありません。リピーターもサイトの使い勝手が悪ければ再購入率が下がりますし、再訪問した見込み顧客も前回チェックした商品が見つけにくければ、途中で嫌になってしまい離脱してしまうでしょう。
引用:
サイトの使い勝手が悪いのはもちろん、見たい情報が見つけられないとせっかくの新規ユーザーもリピーターとして定着しません。
一般ブログで言えばカテゴリやタグ分けをしっかりするといったことでしょうし、過去エントリーでも興味深いものや有益な情報がしっかり提供されていれば新規ユーザーはRSSや読者登録を行うことで、リピーターとなってくれることでしょう。
ただし、ここでよく一般ブログが間違ってしまう施策として、リピーターを作ることばかりに適応しすぎて「内輪だけで盛り上がるブログ」になってしまうことがあります。
常連さんを大切にするという意味やターゲッティングとしては正解とも言えるのですが、「一見さん」が見て喜ぶ(入り込める)コンテンツではないので、それ以上はリピーターが増えにくいのはもちろん、新規ユーザーも沢山逃がしてしまうことにもなってしまいます。
(ブログ(ネット上)に限らず、初めて新しいコミュニティに参加したときに常連ばかりでくっついて盛り上がっていたら、ご新規さんは疎外感を感じて二度とそこに行かなくなりますよね。それと同じことです。)
「限られた人達で楽しむだけ」という目的であるのならばそれでもよいと言えますが、そういったブログに限って前述のようにPVを増やすことに躍起になっていたり、新規ユーザーを増やすべくSEOをものすごく気にしていたりという矛盾を抱えています。
【ブログ運営】SEOでアクセスを集めた後、どうするの? - 検索サポーター
「分かる人だけに分かればいい」と言いながらも、でもやっぱりアクセスは集めたい、有名になりたい、儲かりたいという本音がブログから漏れ出していますし、ごく一部の人のために作られたコンテンツの検索流入が少なくなるのは当たり前なことです。
また、例えテーマが専門的なブログであっても、知識がない人にでも分かり易く説明するなどの工夫次第で多くの人に受け入れられるコンテンツにもなりえます。
「多くの人に見られたい(利用されたい)!」という目的があるのなら、それ相応のコンテンツのボリュームを用意することはもちろん、多くの人に受け入れてもらえる環境やブログの雰囲気、そしてどのようなユーザーでも読んでもらえるようなコンテンツ作りを目指すことが必要なのです。
だからこそ「ユーザーにとって有益な情報を提供すること」がSEOの秘訣であり、コンテンツマーケティングの秘訣でもあるのです。
そして「それを測るための指標、数を集めることを目的にしてしまうと決してうまくいくことがない」のも事実なのです。
もし、あなたのサイト(ブログ)において新規ユーザーがなかなか増えないというときは「SEOが・・・」と手段を疑う(手段を原因にする)よりも、肝心のコンテンツが独りよがりのものになっていないかを確認し、今一度自分の目的が何なのかをしっかり考えてみるべきでしょう。