サイト運営、特にブログ運営において、よく語られる2つのアドバイス。
「継続は力なり」
「自分が好きな事を書く」
この2つのアドバイスはもはや鉄板、お約束だと言っても過言ではないくらいにありとあらゆる場面で語られるため、多くの人が見聞きしているだけでなく、ブロガーなら同じアドバイスを実際に受けたことが必ず一度はあるのではないでしょうか。
ブログ運営に限らず、あらゆる事に関して「継続は力なり」という言葉は一理ある言葉だと言えます。
また、「自分が好きな事を書く」という言葉も、自分が興味のないことを書くのは精神的に苦痛に感じることが多く、更に言えば「人は自分が興味がないことに関しては情報感度が極端に鈍る」ため、ネタ切れを起こしやすく、これも一理ある言葉だと言えます。
しかし、この2つのアドバイスが言葉通りに当てはまるのは、「ブログを書くという行為そのものが目的(趣味)」であったり、「自分ための思考の整理や情報の蓄積」、「自分の意見を発表したい」など、主に個人的な理由(内的要因)であるときに限ります。
逆にこのアドバイスを言葉通りに受け取ってはいけないのは、「広告収入を得たい(アフィリエイトで儲けたい)」「検索流入を増やしてPVも増やしたい」などという目的でブログを運営している場合は、この2つのアドバイスを言葉通りに鵜呑みにしてしまうのは大きな誤解であると言わざるを得ません。
なぜならば、上記の目的を達成するには要因を内ではなく外に求めるべきであり、(内である)自身のニーズを満たすのではなく、(外である)ユーザーのニーズを満たすことこそが成功のコツであるからです。
重要なポイントは…
善意で送られるからこそ誤解しやすい言葉。
善意で送られたアドバイスが見当違いなこともある
え?そんなことは当たり前のことじゃないの?
そう思う方もいるでしょうが、残念ながらそれに気が付いていない(特に初心者ブロガー)、または気付いていても具体的にどうすればよいか分からないブロガーは結構多いものです。
「PVが増えない、広告収入も増えない…」
ブロガーがそんな悩みを吐露しようものなら、同じくブロガーから「継続は力なりだよ」「自分が好きな事を書いて楽しもうよ」というアドバイスがよく送られてきます。
しかし、その言葉を妄信して「継続してみた」「好きな事を書いて楽しんでみた」にも関わらず、目的が達せられない(PVが増えない、広告収入も増えない…)ため、更に悩みを深めてしまうブロガーは多いものです。
また、SEO対策においてもこの言葉は「継続は力なり」=「多更新、長文が有効(とにかくコンテンツ量を増やす)」や、「自分が好きな事を書く」=「好きな事を愛や熱量を込めて書く」という言葉に形を変え、そのアドバイスに含まれる大切な意図が抜け落ちた状態の方法論としてよく語られていたりします。
そしてこのアドバイスも言葉通りに受け取ってしまい、「多更新(毎日更新)した、長文の記事を書いた」「好きな事を愛や熱量(感情)を込めて書いた」にも関わらず、目的が達せられない(PVが増えない、広告収入も増えない…)ため、更に悩みを深めてしまうブロガーも多いのです。
…残念ながらそのアドバイスは、目的を達成したいならば不正解です。
なぜならば、その言葉は「あなたを慰めるべく送られた善意の言葉、応援」であったとしても、「あなたの悩み、問題を解決するべく(目的を達成するべく)送られた具体的な方法」ではないからです。
(既に頑張っている人に「頑張れ!」と応援しても、それは鼓舞するだけでしかなく、具体的な解決方法ではありませんよね。)
言葉の真意、送った側の意図が何なのかをしっかり理解しない限りは、あなたのブログの悩み、問題はいつまで経っても解消されず、目的も達成されないままでしょう。
「漫然と続けているだけ」ではありませんか?
本当に「継続は力なり」なのか?
この言葉について、もう少し具体的に考えてみます。
ブログに限らず仕事でも勉強でもスポーツでも… ありとあらゆる事象や場面で「継続は力なり」という言葉は使われます。
ブログで言えば「頑張って毎日更新しよう!(コンテンツ量を増やそう!)」といったところでしょうか。
特に「文字を綴る」という行為をこれまでに行ってこなかった人、初心者にとっては僅か数行の文章を書くだけでもかなり重い作業であり、苦痛に感じるものです。
私が最初に一理あると言った理由は、この「文字を綴る」という行為が習慣化されていない、書き慣れていない人にとっては一理ある、最初のステップの解決策の一つとなるという意味で言いました。
何事も先ずは「習うより慣れよ」だからです。
特に初心者にとっては続けること、定期的に反復することで「文字を綴る」という基本的な行為をスキルとして定着させるという意味において、「継続は力なり」という言葉が問題の具体的な解決方法となるのです。
逆に言えば既にその段階を終えた人、「文字を綴る」という行為が既に身についている人にとっては、「継続は力なり」は行えば行うほど効果が薄いものとなります。
むしろ次のステップに進むべきタイミングであるのに、「惰性で作業を繰り返しているだけ」であり、進歩がない状況に陥ってしまっているとも言えます。
更にSEO(検索流入)の観点からも考えてみます。
検索流入は検索クエリに依存するので、「継続は力なり」はあまり当てはまりません。
例えばある検索クエリで検索1位を取ったとしても、そもそもその検索クエリが誰からも検索されない(検索ニーズが全くない)ものならば検索流入はいつまで経っても0のままです。
それを全く考慮せずにただひたすらに毎日更新してコンテンツ量を増やしたとても、検索ニーズがないコンテンツを増やし続けているだけですから、検索流入が増えることはありません。
もちろん偶然増える、自分が意図しなかった検索クエリで偶然にもヒットして検索流入が増えるということはあるでしょう。
しかしそれはあくまで結果オーライでかつ運任せでしかない「継続は力なり」であり、そんな施策をずっと続けても効率があまりにも悪すぎると言わざるを得ません。
例えるならば「当たるかどうかも分からないけど、それでもとにかくクジを当たるまで引こう」と言っているようなものです。
そんな方法では当たりを引く前に嫌気がさして辞めてしまう(ブログ運営を止めてしまう)のが関の山です。
(クジを引くという作業が好きな人にとっては結果が出なくても苦にならないでしょうが。)
※ SEOに関しては、更新頻度が問題ではないことを以下のエントリーでも説明しています。
【SEO】更新頻度は検索順位には影響しない。頻度よりも大切なものとは? - 検索サポーター
「楽しい」という言葉で誤魔化しているだけではありませんか?
本当に「自分が好きな事を書く」なのか?
この言葉についても、もう少し具体的に考えてみます。
「好きこそ物の上手なり」という言葉があるように、自分の好きな事は何事も継続しやすく、他の人では苦になる作業も好きだからこそ苦に感じないことはあります。
また、ブログ運営で言えば自分が好きな事を書くことは単純に「自分自身がやっていて楽しい(楽しく記事を作成できる)」ことだとも言えます。
(だからこそ「(あえてテーマを絞っていない)好きな事を書く雑記ブログが多く溢れている」とも言えますね。)
そのため「好きな事を書く=愛や熱量を込めて書く」という言葉としてよく語られますし、このアドバイスも一理あると言えます。
(少し前にGoogleの長山さんが「コンテンツ作りは愛」だと語ったことを受けて、「愛こそがSEO対策」だと言葉通りに受け取っている方もいるのではないでしょうか?)
【Google】日本語検索のみ品質評価アップデートを実施。求められる「愛」のあるコンテンツとは? - 検索サポーター
しかし、このアドバイスもちゃんと言葉の背景や意図をしっかり掴まないと間違った理解をしてしまうことで求めている結果を得られない、目的を達成できない方法論となってしまいます。
ここでいう愛とは「(内である)自己の愛」ではなく、「(外である)ユーザーに対しての愛」です。
自己の愛とユーザーに求められている愛が全く同じものだと勘違いしてしまうと「自分が楽しめばよい」という目的にすり替わってしまうので注意が必要です。
実際にブログ運営の話となると、必ずと言ってよいほどに記事は量か質か?という議論になりますし、なぜか「自分が楽しむのが一番」という結論で〆られていたりします。
「目的や自分がどうなりたいかで変わってくる」ということこそが結論であり、言葉通りに当てはまるのは、ブログを更新することがまだ苦痛に感じる初心者ブロガーだけです。
結論を「自分が楽しめばよい」としてしまうと、当初の目的から「楽しむ」ことが目的に変わってしまうので、結果が出なくても「でも楽しいからいいや」と自分を誤魔化してしまうことにもなってしまうのです。
(そもそも「楽しむ」のが結論、目的なら量か質かなんて全く関係ない話です。)
もちろん自分が納得しているのなら、ブログ運営の目的が楽しむことに変わっても構いません。
ですが、そういうブロガーに限って暫くするとやっぱり当初に求めていた目的(PVや収益)がどうしても欲しくなってしまって、以前よりも悩みを深くしてしまう、具体的にどうすればよいか分からなくなってしまうのです。
(そりゃそうですよね。「でも楽しいからいいや」と報われない結果から目をそらし続けて自分を誤魔化しているのですから…)
また、この問題もSEO(検索流入)の観点から考えてみます。
SEO対策では「検索ユーザーのためのコンテンツを作る」ことこそがSEOの鉄則だと言われます。
その理由は検索ユーザーの検索意図を満たすコンテンツを用意するからこそ検索流入が掴めるからです。
検索流入は内的要因ではなく、間違いなく外的要因です。
自分の好きな事であっても、他の誰も好きでなければそもそも検索すらされない(ニーズがない)ため、検索流入は0となります。
だからこそ「(外である)ユーザーに対しての愛」を込めてコンテンツを作ることが必要となる、検索ユーザーが欲しい情報を提供しない限りは検索流入も望めないのです。
自分が好きな事は他の人も好きな筈だ。果たして本当にそうでしょうか?
目的を達成したいのなら、そこを誤魔化すことがないよう、希望的観測に逃げないようにしなければなりません。
(自分の好きな事を書いていたら検索流入が増えた、収入も上がったという例は「自分の好きな事と他人が好きな事が一致して、かつ、その需要が大きかった場合に限る話」でもあります。この手の成功話は生き残ることが出来たからこそ語れる生存バイアスでもありますから…)
【SEO】「ユーザーのためのコンテンツを作ること」がSEOやマーケティングの答えである理由 - 検索サポーター
「継続は力なり」「自分が好きな事を書く」が自分にとって的確なのか
「継続は力なり」
「自分が好きな事を書く」
もう一度繰り返しますが、この言葉を送る人の意図は「あなたを慰めるべく送られた善意の言葉」ということです。
決してあなたを迷わせる、ブログ運営を失敗させようとして送られた言葉ではありませんが、そのアドバイスを受ける側のあなたは「果たしてこのアドバイスは自分の悩み、問題を解決する(目的を達成する)具体的な方法となり得るか(ヒントとなるか)?」としっかり考えて受け止める必要があります。
この言葉、アドバイスに限らず、何事も考えずにただ鵜呑みにすることを止めることもあなたの問題を解決する、目的を達成する大事なコツの一つです。
これを理解、納得するすることが出来れば、同じ言葉を送られても考えることが習慣化されているため自分なりにアレンジして実行するので、問題解決することが出来るようになるのです。
更に繰り返すことで自身のノウハウ、スキルとして確立するので再現性も次第に高くなるため、自ずと結果はついてきますし、当初の目的もどんどん達成されていくことになりますよ。