ドメインエイジは検索順位に影響を与えない
ドメインの登録期間(ドメインエイジ)は長ければ長いほうが良く、ドメインエイジはランキング要因でもある(検索順位に影響する)。
ドメインについてのSEO論を語ると、必ずと言ってよいほど語られることです。
実際にその都市伝説を鵜呑みにしてしまい「とりあえずドメインを取得しておいて、しばらく放置する(寝かせる)ことでドメインの価値を底上げしておこう…」と試みる人は結構います。
しかし、ドメインエイジはランキング要因としては使われていないことを過去にGoogleの社員が明言しており、つい最近もGoogleのジョン・ミューラー氏がその都市伝説を否定する発言を行ったことが『Web担(Web担当者Forum)』のエントリー「【よくあるSEO都市伝説】ドメイン名の登録期間が長いほど上位表示に有利 | 海外&国内SEO情報ウォッチ | Web担当者Forum」のテーマ「【よくあるSEO都市伝説】ドメイン名の登録期間が長いほど上位表示に有利」にて纏められていました。
なぜこんなにもドメインエイジが検索評価される要因である、SEOにおいて「有効な施策である」として語られているのでしょうか?
これは以前から中古ドメインを売買していた業者がページランクだけでなくドメインエイジも指標の一つとしていた、価値のあるものとして喧伝していたということが少なからず関係していると考えられます。
以前はページランクとドメインエイジを価値基準(評価基準)として中古ドメインの値段を決めている風潮があり、そのドメイン(サイト)から貼られる有料リンク(自演リンク元)の価値も比例して価値があるものだ(だから値段が高い)とされていました。
しかし、今やGoogleによって公開、提供されていたページランクは既に公開されなくなり(※注:リアルページランクは公開されずに更新され、今だに評価基準として使われていると言われていますが)、有料リンクもnofollow属性でなければスパムとみなされることになるため、表立って公開することもなくなりました。
※ ちなみにドメインエイジだけでなく、そのドメインの過去の履歴(アーカイブ)は下記のサイトにて「ある程度」は調べることが出来ます。
Internet Archive: Wayback Machine
今回のGoogleの発言を言葉通りに受け取れば、「ドメインエイジはSEO(検索順位)には影響を与えない」ということで結論つけられます。
(中古ドメイン業者やサーバ業者に限らず、「ドメインエイジは検索エンジンの順位における主要な要因の1つです!」といまだに書いている、喧伝しているサイトは沢山ありますけれども…)
【Google】ツールバーのページランクが完全に廃止。中古ドメインの売買に影響あり - 検索サポーター
「実のある」時間を積み重ねよう。
実績のあるドメインだから上位表示で有利となる
『いやいや、中古ドメインの中には検索に強い、SEO効果がある(すぐにインデックスされ、検索上位に表示されやすい)ドメインが実際に存在する。よってドメインエイジの長い中古ドメインは有効だよ。』
『ページランクは表示されなくなった(データが公開されなくなった)だけであり、リアルページランクは今も変わらずGoogleの重要なランキング要因の1つ。ドメインエイジも考慮されているからこそだよ。』
こういった意見はよく聞きますし、この意見は部分的には正解でもあります。
しかし、これらの意見は「ドメインエイジがランキング要因になっているからSEO効果がある」という根拠とはなりません。
中古ドメインにおいて評価されているのはその長さ、ドメインエイジではありません。
評価されているのは「過去の行い」、すなわち「そのドメインの実績」なのです。
【SEO】過去の行いによる評価は良くも悪くもドメインに残っていることがある - 検索サポーター
良くも悪くも「過去の行いの評価がドメインに残ることがある」からこそ、過去のサイト内容はもちろん、過去に貼られた被リンクによって検索に強く、SEO効果がある中古ドメインが存在するのです。
もちろん「過去の行いの評価がドメインに残ることがある」ということは、プラスの実績だけに限りません。
マイナスの実績も残るため逆に検索に弱い、SEO効果が薄いドメインも存在するのです。
例えば不正なリンク行為などで過去にペナルティを受けたドメインや、過去に悪しきサイトを運営していたり、質の低い被リンクを受けたままになっているなどのドメインがそれに当たります。
参考:
新規ドメインを取得したら、それがとんでもないドメインでSEOですごく苦労した話 | マツヤマンスペース
過去の行いが残るということは、それだけ運用期間も長いからこそドメインエイジも長いということも言えますが、正にこれが「ドメインエイジが長ければSEO効果がある」という勘違いを起こさせる要因となっています。
いくらドメインエイジが長くても使われていないドメインならば価値はない(実績がない)わけであり、「実績のあるドメインだからこそ(過去の評価が残っているので)上位表示に有利となる」のです。
相関関係と因果関係をごっちゃにして「ドメインエイジに価値がある」と判断しないようにしましょう。
積み重なっていく価値とは?
外的要因に頼るのもよいですが…
@bill_slawski AFAIK most registrars don't provide registration length anyway. That's not what you want to spend your "SEO time" on.
— John Mueller (@JohnMu) 2016年11月3日
ジョン・ミューラー氏のつぶやき訳:
私が知る限りでは、ほとんどのドメイン名登録事業者は、ドメイン名の登録期間を提供していない。そういったことに、SEOの時間を費やすべきではない。
「長期契約はグーグル検索に有利です」と契約更新を勧めてくるドメイン名登録事業者の誘いがもしあったとしても、くれぐれも引っかからないようにしてほしい。
【よくあるSEO都市伝説】ドメイン名の登録期間が長いほど上位表示に有利 | 海外&国内SEO情報ウォッチ | Web担当者Forum
前述の通り、いくらドメインエイジが長くても何も実績が積み上がっていない、運用されていないドメインならば価値は全くありません。
一方で中古ドメインに残っている価値に頼って検索上位を獲得する(SEOの底上げを行う)のは手っ取り早くかつ有効な手段であるとも言えるでしょう。
(実際に中古ドメインを使って新しいサイト作成や、自演リンク元として使っている人はいるものです。)
しかし、中古ドメインの価値はあくまで外的要因であり(価値のあるドメインありきの施策なので)、自らのチカラで獲得した評価ではありませんし、もしGoogleが以前の行いを評価しなくなる、過去の価値をリセットしてしまえばその価値すらも一瞬で無になってしまいます。
必死に中古ドメインを漁って底上げを狙うよりも、その時間を使ってユーザーに有益な情報を1ページ、1行でも多く与えられるように考えてコンテンツを作成する方が自分のノウハウにもなりますし、積み重なっていく価値というものはそこにこそあるものだと私は断言します。