鷹野凌氏と福井健策氏が講演
『INTERNET Watch』のエントリー「SNSへの投稿、バイラルメディアの転載、著作権法的には何が問題? 鷹野凌氏と福井健策氏が講演 -INTERNET Watch」に、「クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本」の著者である鷹野凌氏と監修を務めた福井健策氏によるセミナーの模様がまとめられていました。
書籍内容にあわせて著作権や法律について行われた講演であり、とてもしっかりとまとめられたエントリーとなっています。
企業、法人のWEB担当の方やライター、クリエイターの方はもちろん、一般ブロガーの皆様も是非一読しておくべき内容と言えるでしょう。
著作権を絡めたSNSへの投稿についてもとても興味深いことが書かれているので元エントリーを全て読むことを推奨しますが、当エントリーでは、昨今話題のバイラルメディアの転載、引用という名のコピー(パクリ)に焦点を絞って考えてみたいと思います。
本もしっかり読もう。
「引用」の定義とは
福井氏は、画像がコピーして掲載されたものか、リンクで表示されているかによっても違いがあるが、コピーされている場合には複製権や公衆送信権の侵害にあたると説明。ただし、著作権法には第30条の「私的複製」や第32条の「引用」などの例外があり、この例の場合では「引用」に該当するかを考えることになるとした。
引用:
SNSへの投稿、バイラルメディアの転載、著作権法的には何が問題? 鷹野凌氏と福井健策氏が講演 -INTERNET Watch
権利者の許可もなく画像がコピーされている場合には、複製権や公衆送信権の侵害にあたる。
これは誰もが納得出来るところです。
自分が撮った写真や描いたものである画像が許可されないままに使用されること、これこそ無断コピーであり、パクリと言えるでしょう。
ただし「私的複製」や「引用」という例外があり、この例外こそが最近問題になっているバイラルメディアの「引用」問題に関わってくるところです。
(この「引用」の定義が曖昧かつ、ケースバイケースなことをバイラルメディアは悪用しているとも言えます。)
「引用」についてもう少し考えてみましょう。
引用かそうでないかの基準については、判決によっても判断が揺れている部分があるが、代表的な最高裁の判例では、引用とそれ以外の部分には明確な「主従関係」があり、「主」と「従」に相当の差があることが必要とされていると説明。
引用:
SNSへの投稿、バイラルメディアの転載、著作権法的には何が問題? 鷹野凌氏と福井健策氏が講演 -INTERNET Watch
当エントリーでもこうして元の文章を引用していますが、上記の文章の通り「主」と「従」に相当の差があること、これに尽きると言えます。
例えば当エントリーでも私独自の文章が引用よりも少なく、独自の意見や情報の提供がなければ、コピーコンテンツ、パクリと判定されるでしょう。
(そもそも独自の意見や情報などのオリジナルな文章がないものをエントリーするのは、全く意味すらもないと私は思っていますが。)
ほぼコピーやリンクで埋めつくされ、最初か最後にほんの数行だけ意見、感想を書く。
(その感想すらないものもありますが。)
バイラルメディアに限らずまとめサイトなどはよくこの手法を取っていますが、これも「引用」の条件を満たしているとは言えないことがご理解いただけると思います。
Googleも「このようなコンテンツはコピーコンテンツだ」と判断したからこそ、クオリティアップデートによって検索順位を落とす施策を取ったのでしょう。
【Google】まとめサイトの順位下落は本当だった!クオリティアップデートで下落対象に - 検索サポーター
ダメよ~、ダメダメ!
「たいていのバイラルメディアはダメ」な理由
そのため、コピーした画像を「引用」と主張するのであれば、その画像について述べている文章などが「主」、画像そのものが「従」の関係になるが、画像の下に説明文が一文付いているといった程度では明確な主従関係とは言えず、引用にはあたらないだろうとして、「たいていのバイラルメディアはダメですね」と語った。
引用:
SNSへの投稿、バイラルメディアの転載、著作権法的には何が問題? 鷹野凌氏と福井健策氏が講演 -INTERNET Watch
この場合、「画像の下に説明文が一文付いているといった程度」の部分が「主」となり、画像が「従」となります。
明らかに「主従の関係にはなっていない」ことが分かりますし、それどころか画像の下につけられた文章すらも元画像のサイトのコピー(パクリ)というケースもあります。
更には引用URLを、コンテンツロンダリングを行った先のURL(同様のバイラルメディアやまとめサイトのURL)、検索エンジンの検索結果のURLにしていたりと、小賢しいことをやっていたりします。
パクって作ったコンテンツを更にパクるなんて、言語道断としか言いようがありませんね。
(これはパクったことを指摘されたときに、「いやいや、ウチもパクられたものだとは知らなかったし・・・」とエクスキューズするためでもあるのでしょうね。)
現在では著作権は親告罪なため、本人が訴えない限りは罪になりませんし、コピーして(パクって)いる側も「バレなければいい」「(時間とお金のコストを考えたら)どうせ訴えてこない」とタカを括っていたりします。
もし、あなたが自分の画像、コンテンツを無断でコピーされた(パクられた)のを発見したなら、無視することだけは絶対に止めてください。
訴えることはせずに和解を求める、穏便に済ませるとしてもしっかりと相手に警告を行いましょう。
今後同じことで苦しむ人を減らすためにも、声を上げることは大切なのです。
(コピーコンテンツの放置はSEO的にも悪影響を及ぼします。これについてはまた別でまとめエントリーを行う予定です。)
・・・と、丁度同じような状況になっている知り合い、(最近あまり参加してくれない)フットサルのチームメイトを励ます、応援する意味も込めてエントリーをしてみました。
星野さん、頑張れ!
さいたま市の予算で運用する地域ポータルサイトが大宮経済新聞の記事を丸パクリ!|すしぱくの楽しければいいのです。
【追記】
エントリー後に色々と調べていたら、当ブログのエントリーも「とあるバイラルメディア」に引用されているのを発見しました。
すげえなー、バイラルメディアって。バイラルメディアに批判的な俺のエントリーすらも引用するんだもん(笑) PV稼いでソーシャルでシェアされれば何でもアリなんだな。
— 敷田憲司 (@kshikida) 2015, 5月 26