※ 2017/4/1:アメリカで行われたSMX West2017のセッションにて、Googleより「ドメインオーソリティーというシグナルは持っていない」という説明がなされました。
重要なポイントは…
初心者は鵜呑みにしてはいけません
以前「リスティング広告は自然検索の順位に影響する」という都市伝説や、「リライトによるSEO対策は3000文字が必要だ」と根拠のないことを語っていたブログエントリーについて、私はその内容を否定したエントリーを書きました。
【SEO】いまだに語られるリスティング都市伝説と、ユーザーの検索意図を汲まない無意味なリライトと長文 - 検索サポーター
同様に、昨日は「ドメインオーソリティーが低いから低品質なブログだ」と一方的に決めて、他者のブログを見当違いな分析によって低品質だと論じていたエントリーを目にしてしまいました。
そのエントリーは初心者必見のSEO対策であるとタイトルに書いて煽っていましたが、そもそも初心者がドメインオーソリティーを知っている、理解も出来ているならばその時点でもう初心者ではありません。
更に言えば、ドメインオーソリティーをちゃんと理解して、かつ数値を上げるべく対策を考えて実行することは、初心者だけでなくある程度SEOのことを知っている、熟練している人であってもかなり難しいことです。
残念ながらそのエントリーをむしろ初心者が見て鵜呑みにしてしまうとSEOを誤解してしまう内容が書かれていました。
そして肝心の内容も所々誤っている記述が多い、説明不足な点が多いので、私はこのエントリーにて指摘かつ説明を行おうと思います。
【2017/4/1:追記】
Googleより「ドメインオーソリティーというシグナルは持ってない」ということ、「サブドメインオーソリティも存在しない」という説明がなされました。
結論を言ってしまえば、ドメインオーソリティーはSEOに影響を与える指標ではないということです。
2人のGoogle社員が何でも答えてくれた――フレッドアップデート、PWA、重複コンテンツペナルティ、機械学習などなど #SMX West 2017 | 海外SEO情報ブログ
それ、どこ情報?
「ドメインオーソリティが低いから低品質なブログ」?
そもそもドメインオーソリティー(DA)とは何でしょうか?
ドメインオーソリティーとはMoz(以前はSEOMoz)というインバウンドマーケティングの情報やツールを提供する企業、Web業界では信頼をされている起業が提唱する概念であり数値です。
ドメインに対する検索エンジンからの評価を数値化したものであり、Googleのページランクがなくなった(表示されなくなった)ことで、それに代わる指標としてあくまで「参考程度」に扱われる数値だと言えます。
(ページランクは外部公開を停止した(データ提供を止めた)だけであり、Googleの検索順位アルゴリズムとしては依然として機能をしています。悪しからず。)
【Google】ツールバーのページランクが完全に廃止。中古ドメインの売買に影響あり - 検索サポーター
あくまで検索順位の評価は外部リンクの数や、リンクの価値、信頼性、リンク元のドメイン名の種類など、150以上のシグナルをもとに計算されています。
そして、ドメインオーソリティーはあくまで0から100までの中で表される数値であり、絶対値として扱うにはあまり意味がないとも言え、競合サイトとの相対性で確認、比較すべき数値だと言えます。
※ ドメインオーソリティーについてはWeb担にも明確かつ簡素に説明されていますので、こちらも参考にしてください。
ドメインオーソリティ とは 意味/解説/説明 【Domain Authority, DA】 | Web担当者Forum
それを踏まえた上で件のブログエントリーを見てみると、「更新頻度が高いと(低品質な記事が増えるので)ドメインオーソリティーが下がる」という結論が論じられています。
(私の知る限りでは)更新頻度が高いとドメインオーソリティーが下がるということを聞いたことがありません。
恐らくこれは更新頻度が高い、頻繁に記事を書くと一つ一つの記事にかける時間が少なくなるので「雑になる」、低品質な記事になるということを言いたいのでしょう。
そして低品質な記事の割合も増やすことになるからドメインオーソリティーが下がるのだと言いたいのでしょう。
しかし、ドメインオーソリティーが高い例として挙げているブログも(私の見る限りではありますが)お世辞にも質が高いものばかりではない、むしろ低品質な記事が多いブログもあるように思えます。
むしろドメインオーソリティーを上げるには更新頻度よりもよりも外部リンクの方が関係が強いと私は考えていますし、ドメインオーソリティーがサイト(ブログ)全ての価値を表す数値だとは思いません。
ドメインオーソリティはあくまで参考とする程度の数値であり、それがサイトやブログの絶対的な価値を表す数字ではないというのが私の見解です。
(Googleのアルゴリズムを参考にしているとはいえ、Googleが正式に算出して発表している数値ではないのですから。)
更新しまくっても意味がない?
「多更新は無意味でありブログに最悪な影響を与える」?
更新頻度についてもう少し説明します。
更新頻度と記事の質は必ずしも比例、反比例するとは言えません。
それは更新頻度が高くてエントリーにあまり時間をかけなくても、一つ一つのエントリーを丁寧かつ簡潔に書いているブロガーもいれば、たまに更新する程度ですが長文の割には読者に何を伝えたいの今一つ分からない、書かないブロガーもいるからです。
(先ほどの「雑になる」ということと一緒くたに語られやすいことではありますが。)
例えば外注を使ってエントリーを量産、多更新するオウンドメディアもあります。
それが全て今のキュレーションサイト問題と同様に、信頼も専門性もないライターが書く低品質で寄せ集めの記事ばかりとは限りませんよね。
そもそも検索順位、評価はあくまで検索クエリ(検索ユーザー)の意図に適うかどうかであり、そのようなコンテンツが検索上位に来るということが「検索エンジンの評価の大前提」でもあり、Googleが目指すことです。
更新頻度が高いと低品質な記事が増えるのではありませんし、更新頻度を控えたからといって記事の質が上がるとも言えません。
重要なポイントは検索クエリ(検索ユーザー)の意図に適うコンテンツとして公開出来ているかどうかです。
相関関係と因果関係をごっちゃにして語っていると言わざるを得ないです。
【SEO】更新頻度は検索順位には影響しない。頻度よりも大切なものとは? - 検索サポーター
手段が目的になっている典型です。
「リライトは大幅変更とする」?
特にこれは根拠すら何も書かれていないので、私はこの意見は全く理解出来ませんでした。
「小さな変更は記事の再評価に繋がらなく、逆に低品質の記事と見なされて順位が下がる」ということや、「1000文字の記事ならば3000文字を目指すなど、それくらいの分量を書かなければリライトしていないのと同義」とは、どういう根拠に語られていることなのでしょうか。
そもそも検索順位(検索評価)は、検索クエリそのものよりは検索意図に依存するもので、かつ、サイト(ブログ)の信頼性、それこそドメインの評価にも依存することなのですから、文字数だけでは「一概には言えないこと」です。
リライトは「ユーザーの検索意図」を汲んで「ニーズのある情報を追記、リライトした(逆に文字数を削って簡素にした)」、「丁寧かつ分かりやすく解説したので長文となった」からこそ検索順位が上がる、効果が出るものであり、それこそが一番有効な方法です。
リライトは文字数を増やすことばかりではありません。
逆に文字数を少なくして分かりやすく簡素化することで検索順位が上がることもあります。
例えば辞書サイト(辞書コンテンツページ)が検索順位の一位に表示される事象を考えてみれば分かりやすいでしょう。
なぜ文字数がとても少ないのに検索一位に表示されるのでしょうか?
それは「言葉の意味を知りたいという検索クエリ(検索ユーザー)の意図」が検索ユーザーの大多数を占めているとGoogle(検索エンジン)が判断、評価したからこそ文字数がとても少ないコンテンツでも一位に表示されるのです。
恐らくそのブログが過剰なほどの文字数を追記したところ、検索流入が増えたということを経験したため、経験則として一概に語ってしまっているのでしょうが、サンプルがそのブログだけではあまりに信憑性が乏しすぎる、分析としては不十分だと言わざるを得ません。
(そしてその記事も内容と全く関係のない画像、テキストを差し込んでいるので手段が目的化しちゃっているのでしょう。)
長文だから検索上位に表示され、検索流入が増えるのではありません。
これも相関関係と因果関係をごっちゃにしてしまっています。
※ 下記エントリーは「多すぎる記事による内容の重複」、カニバリゼーション(情報の共食い)についても解説していますので是非参考にしていただければ幸いです。
【SEO】リライトと長文、そしてnoindex…言葉だけを鵜呑みにすれば失敗します - 検索サポーター
熱量とは?
最後に「ユーザー目線」だと尤もらしく語っていますが…
「ユーザー目線で熱い思いをこめる」。
確かにその通りではありますが、その熱い思いというのは具体的にどういったものを言うのでしょうか?
まさかGoogleの検索アルゴリズムが書き手の熱意を計量することが出来るとでもいうのでしょうか?
私は一般の人よりも好きで詳しいからこそ一般の人が知らない情報や気が付かない視点も持つことが出来るし、そしてそれを分かりやすくかつ適切な文字として落とし込むことこそが文章力であり、それが熱量、熱い思いとしてユーザーに届くことで外部評価に変換される(被リンクやSNSでのバズとなる)から検索評価が上がるのだと考えています。
それこそユーザーに読まれない、理解してもらえるように文章を書かない限りは熱量があるかどうかも分からないですよね。
だから最低でも「読まれる文章」「読むことが苦にならない文章」は書くべきだとも考えています。
恐らくそのブロガーは私と同じことを言いたかったのだろうとは思いますが、こうして実際に文字に落とし込まないとユーザーには届かない、それこそユーザー目線になったとは言えないでしょう。
検索流入を増やすたった一つのコツ、それは「検索ユーザーのニーズ(意図)を満たすコンテンツ」を提供することで間違いありません。
語るべきことはしっかり語るからこそ価値があり、語って然るべきではないでしょうか。
【SEO】検索流入を増やすたった一つのコツは「検索ユーザーのニーズ(意図)を満たすコンテンツ」を提供すること - 検索サポーター
個人的な意見を言えば…
今回のように最近は前提条件や明確な理由を語らずに、ただ方法論だけでSEOを語り、ブロガー自身の意見(考察)をさも確証のある事実のように語ってしまっているエントリーを見かけます。
これでは読者の混乱を招く元になりますし、事実誤認、誤読してもおかしくないような文章構成では(意図的であろうとなかろうと)デマを流しているだけのエントリーだと判断されても仕方ありません。
そして、これはあくまで私の個人的な意見ですが、言わせていただきます。
ブログ論、考察や推論を語るのは自由ですし、人間ですから間違ったことを言ってしまう、書いてしまうこともあるでしょう。
(私だって極力間違いがないようにと細心の注意を払ってはいますが、間違ってしまうこことはあります。その場合は直ぐに訂正、謝罪するよう心がけてはいますが。)
しかし、それよりも自分の意見、自分の考察を正しいモノだとして語るために嘘をついたり、他のブログを貶める言説はとても不愉快に感じました。
もうその時点で公平には語られていないのですから、あなたが重要だと語っている「ユーザー目線」だとは決して言えないですよ。