- 検索エンジンはリンク階層で評価し、ユーザービリティは階層構造が望ましいことが勘違いを招く
- URLの長さを検索エンジンは気にしない
- 所属関係や階層構造をURLで示す必要はない
- 「ディレクトリ階層」と「リンク階層」の違い
- SEO施策として考えるならリンク階層ですが・・・
検索エンジンはリンク階層で評価し、ユーザービリティは階層構造が望ましいことが勘違いを招く
SEO対策を考える時、少しでも検索評価(ランキング)を上げるべくURL表記を気にすることはもちろん、サイトのディレクトリ階層とURLを合わせることで検索評価も上がるのではないかと誰しもが考えるのではないでしょうか?
- URLは短い方がユーザーは見やすい(よって、検索エンジンも見やすい)。
- URLも階層構造で表すほうがユーザーには分かりやすい(よって、検索エンジンも分かりやすい)。
結論から言いますと、URLの長さは検索順位に影響を与えませんし、ディレクトリ階層が浅いからといって検索評価で影響を与えることもありません。
恐らく多くの方がこの結論を聞いても、「いや、それは間違っている」と考えるでしょうし、「整理されているからこそ人にも検索エンジンにも分かりやすいのは真実だ」と考えるのではないでしょうか?
この勘違いは検索エンジンとユーザーにおける「階層構造の違い」を一緒のものとして考えてしまっている、同一視してしまっているに他なりません。
ユーザビリティにおいてはディレクトリ階層で表すことは見やすさ、分かりやすさに繋がりますが、検索エンジン(クロールとインデックス、SEO)においては、ディレクトリ階層ではなくリンク階層で評価を行うのです。
この「ディレクトリ階層」と「リンク階層」を一緒のものだと捉えてしまっていることで起きる勘違いと言えます。
この違いを『Web担(Web担当Forum)』のエントリー「UGCサイトのウェブ担当者の重要な務めはコンテンツ監視 | 海外&国内SEO情報ウォッチ | Web担当者Forum」のテーマ、「URLを分類構成するとクロールとインデックスの効率が良くなるのか?」を使ってご説明します。
この違いを説明します。
URLの長さを検索エンジンは気にしない
先ずはURLの長さ、表記についてご説明します。
URLが短いからSEO(検索評価)に有利であることはなく、もっと言えばアルファベットだから有利などということもありません。
日本語URLであろうとアルファベットURLであろうとSEOだけで考えると、どちらが有利、どちらが高く評価されるということはないのです。
【SEO】日本語URLとアルファベットURLはどちらがSEOで有利なのか? - 検索サポーター
ただし、ネット上では日本語URLだと英数字・記号に変換される(エンコードされる)環境も多く、その環境下では日本語URLはまったく意味不明の長い文字列として表示されてしまうことが起こり得ます。
また、日本語URLではJSON-LDのリッチスニペットでは画像が正常に表示できないという不具合も生じるようです。
このように、短いURLはあくまでユーザビリティに優れている、人にとって見やすくて分かりやすいというだけであり、SEOで有利となるわけではありません。
私個人の意見を言えば、SEOに関係はないけれど長いURLよりも短いURLのほうが見やすいのは事実なので、出来れば短くしたいと考える程度です。
検索エンジンに限ってはURLで示す必要はありません。
所属関係や階層構造をURLで示す必要はない
ジョン・ミューラー氏の回答
クロールする際に、URLによる分類は基本的には見ていない。ユニークなURLでユニークなコンテンツを表示するかだけを見ている。その分類を示す文字列をURLに入れる必要はないし、URLに意味的な要素を持たせる必要もない。
引用:
検索エンジン(クロール)は、URLによる分類と階層構造は基本的には見ておらず、そのページのURL、及びコンテンツがユニークなものであるかだけを見ています。
即ち、そのページの所属関係や階層構造をURL(ディレクトリ構造)で示す必要はないということです。
※ 元記事に記載された分かりやすい例を引用します。
ドコモとソフトバンク、auのAndroidスマホのカテゴリページ
- example.com/android/docomo/
- example.com/android/softbank/
- example.com/android/au/
ドコモが販売するNexus 5Xのページであれば、検索エンジン視点から見れば次の2つのURLに優劣はない。
- example.com/android/docomo/nexus5x.html
- example.com/nexus5x.html
引用:
ここが勘違いしやすい元でもありますが、検索エンジンにURLで示す必要はないとはいえ、URLはユーザーも見ている、ユーザーはURLで内容を判断することが多いということです。
ユーザーにとってはURLが所属関係やディレクトリ構造で表されていたほうが分かりやすい(内容を想像しやすい)ですし、URLを管理する側にとっても所属関係やディレクトリ構造で表されていたほうが管理、把握もしやすいものです。
ただし、ディレクトリ構造と合わせたURLにすることが望ましいとはいえ、複数のカテゴリ、タグで管理しているものを無理して階層構造にすると逆に分かりにくくなる(ユーザーも探しにくくなる)こともありえます。
また、この問題は「パンくずリスト」を設置する際も必然的に関係してきます。
複数のカテゴリ、タグで管理しているコンテンツをディレクトリ構造と同じパンくず表記にすることが出来ない・・・と悩んだ方も多いのではないでしょうか。
(一つのパンくずリストでは表記できないので、タグ、カテゴリ別で複数のパンくずリストを設置するという方法もありますが、ユーザーによっては逆に分かりにくい、混乱するという方もいるでしょう。)
このように無理してディレクトリ構造と合わせることで生じるデメリットもあることを踏まえ、自分のサイトはどの方法がよいかと各個人で判断して下さい。
※ Googleの公式「検索エンジン最適化スターターガイド」も参考にして考えてみてください。
2つの違いは何か?
「ディレクトリ階層」と「リンク階層」の違い
さらに「ディレクトリ階層」と「リンク階層」の違いについて説明します。
前述のようにURLのディレクトリ階層の深さと検索順位(評価)には関係性がありません。
それよりもいくつの「リンク(クリック)で到達できるか」を検索エンジン(クロールとインデックス、SEO)は評価します。
これを「リンク階層」と言います。
たとえばURLのディレクトリ階層が深くても(「/」で沢山区切られているURLであっても)、トップページから直接リンクが張られていれば検索エンジンにとっては2階層目となります。
これがリンク階層の考え方です。
ただし、リンク階層もいくつものリンク(クリック)を経由しないと到達できないページだと、深くなればなるほどそのページは重要ではないとGoogleのクローラーは認識してしまうことでそのページを見つけるのに時間がかかってしまいますし、その分インデックスも遅れてしまいます。
(場合によってはそのページまでクロールされないこともあるようです。)
それなら「Fetch as Google」を行えばいいとはいえど極力作業は少なくしたいですし、変更の度に何度も行うのは根本的に問題解決だとはいえないですしね。
【SEO】「Fetch as Google」はすぐにインデックスするものではなく、リクエスト送信をするだけのものです - 検索サポーター
何を求めて(求められて)いますか?
SEO施策として考えるならリンク階層ですが・・・
また、サイト内の重要なページにはトップページから内部リンクを張ることで、より多くの評価(ページランク)を渡すことができます。
(これはSEO内部施策の基本でもありますね。)
以前、Googleのマット・カッツ氏がリンク階層について以下のように語っていました。
本当に重要なページであればトップページから1~2リンクでたどり着けるようにする事で、そのページのページランクは相対的に高くなります。
このようにクロールとインデックス、特にSEO施策として考えるときは常に「リンク階層」を意識してサイトを設計してみてください。
最後にこのエントリーについて簡単にまとめると・・・
- SEO(検索評価)に影響しないが、長いURLよりも短いURLのほうがユーザーは見やすく分かりやすい
- ディレクトリ階層ではなく、リンク階層で考える
- トップページ(ページランクの高いページ)からリンクを張ることでSEO内部施策にもなる
特にディレクトリ階層とリンク階層はユーザーにとっては矛盾する部分もありますが、あなたのサイトにユーザーが「どちらを求めるか」、また、管理者としても「どちらを求めるか」をしっかり考えて判断してみてください。
※ 参考リンク
URLはディレクトリ階層よりもリンク階層がSEOには大切 | 海外SEO情報ブログ