一カ月前に炎上を狙うコンテンツや不快なコンテンツ、嫌悪感を煽るコンテンツは低品質とみなされ、検索評価(検索順位)が上がりにくくなるどころか検索結果に表示されにくくなると当ブログでお伝えしましたが、正にその実現に向けてGoogleが検索順位アルゴリズムを改良した(アップデートを行った)ことが発表されました。
「Project Owl(プロジェクト アウル)」と呼称されたこのプロジェクトによって行われたアップデートは、「フェイクニュース」や「不快な、嫌悪感を煽るコンテンツ」を検索結果に表示するべきではないものと定めました。
特に「お金」「健康」「安全」「法律」に関するコンテンツの質のチェックを強化するアップデートとしても実施されています。
今回のアルゴリズム改善によって影響を受けるのは現在の検索トラフィック全体の僅か0.25%程度だと発表されていますが、これはあくまで始まりでしかありません。
前述のような低品質なコンテンツ対策としてGoogleが改善に本腰を上げたといっても過言ではないのですから、今後は精度も上がり、対象も広がっていくことは容易に予想できます。
※ 英語版
Our latest quality improvements for Search
※ 日本語版
Google ウェブマスター向け公式ブログ: Google 検索における最新の品質向上について
また、今回のアップデート(便宜上「アウルアップデート」と呼びます)は、ただ検索アルゴリズムを改善したというものではありません。
どのようなものなのかを以下に解説いたします。
重要なポイントは…
これ、正しい情報なのかな…?
Googleは信頼でき、関連性の高い情報を提供するだけ
アウルアップデートについて解説する前に、現在の検索の傾向、状況と検索エンジンの仕組みについて少しお話いたします。
今回、Googleがアウルアップデートを実施したとはいえ、Googleの全ての検索にて低品質の判定が自動で行われるようになるのはまだまだ先の話だと言わざるを得ません。
また、依然としてGoogleは検索結果に表示される情報が正確なものかどうかについてを保証しているわけでもありません。
(あくまでGoogleは「可能な限り信頼でき、かつ関連性の高い情報を検索ユーザーに提供している」だけです。)
残念ながら、Google の検索結果が、真に「完璧」になることはこれからもないでしょう。しかし、私たちは、皆さんの信頼にお応えし、ユーザーの皆さん全員にとって役立つ製品の開発と提供に尽力してまいります。
更に言えば、フェイクニュースや攻撃的、ヘイトなコンテンツは内容が刺激的でセンセーショナルであることからも数多くの人の目を引くことで検索され、言及される(サイテーションされる)傾向が強いコンテンツです。
検索エンジンの仕組み上、数多く検索されることでサジェストや強調スニペットに表示されることも増えてしまい、「表示することは好ましくないのに表示されてしまっている」という悪しき状況を生み出してしまうことにもなっているのです。
(※ この仕組みを悪用したのが「サジェスト汚染(スパム)」でもあります。特にYahoo!ではサジェスト汚染が酷く、いたちごっこになっています。)
【SEO】Yahoo!がサジェスト検索(虫眼鏡SEO)の汚染対策を実施 - 検索サポーター
その解決策としてなのか、アウルアップデートでは「検索順位アルゴリズムの改良」だけを行ったのではなく、「オートコンプリート(サジェスト)及び強調スニペットのフィードバックリンク」を提供するようになっています。
即ち、検索を実施した直後に即座にフィードバックを送ることができる仕組みとなったのです。
うーん、よく分からないから具体的に教えて。
新しいフィードバック機能の提供
この「オートコンプリート及び強調スニペットのフィードバックリンク」とは何でしょうか?
例を交えて説明いたします。
1.オートコンプリート(サジェスト)
図は「スニペット」でGoogle検索を行った検索結果です。
「スニペット」と入力すると、『スニペットとは』『スニペット Google』など、オートコンプリート(サジェスト)として検索クエリが複数表示されます。
もし、その中に「表示することは好ましくないのに表示されてしまっている」検索クエリが存在したならば、①で示した部分の「不適切な予測の報告」からフィードバックを送ることが出来るのです。
その理由も「差別的」「露骨な性表現」「暴力的、または危険で有害な行為が含まれている」「その他」から選択して報告することが出来るのです。
2.強調スニペット
また、強調スニペットは(検索クエリによっては表示されないこともありますが)以前からフィードバック機能(②)が備わっていましたが、今回のアウルアップデートからは選択肢が大幅に変更されました。
「役に立った」という選択肢は以前から引継がれていますが、今回のアウルアップデートからは「不快な回答です」「人種差別的または悪意のある不適切な回答です」「下品または露骨な性表現を含む回答です」「有害、危険、暴力的な回答です」「誤解を招く、または不正確な回答です」というマイナス評価を示す選択肢が追加されました。
このようにフィードバックを即座に送ることが出来る機能を追加した理由は、Googleが今後のアルゴリズムの改良に役立てることはもちろん、フェイクニュースや不快なコンテンツ、嫌悪感を煽るコンテンツについては検索結果に極力表示させない、積極的に取り締まっていくという方針の表れだと私は解釈しました。
(※ 実際に品質評価ガイドラインは情報の正当性に問題があるウェブページに関わる評価項目を大幅に追加し、更に検索結果においてのファクトチェック(事実確認)を、全世界で行う(更に拡大していく)ということも既に発表しています。)
Fact Check now available in Google Search and News around the world
RankBrainが更に貢献していくか?
また、Googleは以前からスパム対策に機械学習(RankBrain)を導入していて、リンクを含めたコンテンツの価値を正確に測る試みがなされています。
今回のアウルアップデートだけでなく、RankBrainの精度、対象範囲についても合わせて改善されていくことで、コンテンツの価値だけでなくリンクの評価がより正確なものとなり、批判の意味で多く言及されている(被リンクを受けている)炎上系コンテンツは低品質なコンテンツだとみなされる事が増えてくるでしょう。
今までは検索評価(SEO)の特性上、例えそれがネガティブな被リンクであっても「自然に集まったリンク」として一定のプラス評価を受けていました。
しかし、今回のアウルアップデートやRankBrainにて低品質なコンテンツとしての評価を受けるということは、発リンクはもちろん集まった被リンクの価値も改めて見直されるということでもあるのです。
(実際に炎上などマイナスで評判になったコンテンツは、ずっと検索上位に居続けることがなくなっているなと感じています。まあ、旬が過ぎて誰も検索すらしなくなった、見なくなったと言ったほうが正解かな。)
また、ペンギンアップデートがリアルタイム処理されるようになったのは、今までは手動でしか判断出来なかったものがどんどん自動で判断されるようになったからこそであり、それはRankBrainの性能、正確性が日を追うごとに上がっているからだとも言えますね。
【SEO】Googleがスパム対策にも機械学習を使うよう取り組み中。RankBrainがネガティブ被リンクの価値も判別するか - 検索サポーター
信頼されること。
信頼という評価は積み重ねるもの
以上が今回の「アウルアップデート」に伴うGoogleの検索順位アルゴリズム変更の内容です。
Googleが色々なアルゴリズム更新、アップデートを行う上で明確な評価軸としているもの。
今回のアウルアップデート然り、RankBrain然り、なぜGoogleは検索順位アルゴリズム変更を常に行うのか?
その理由は、正しい情報を知らない人がGoogleの検索結果を信じてしまうことで問題となることを防ぐのはもちろん、Googleも検索ユーザーに対して「信頼」という評価を積み重ねようとしているからなのです。
それは今回の「私たちは、皆さんの信頼にお応えし、ユーザーの皆さん全員にとって役立つ製品の開発と提供に尽力してまいります。」という言葉に集約されています。
(結局、Google検索を信じられなくなったら誰もGoogleを使わなくなるのですから…)
何事も「信頼という評価は積み重ねるもの」です。
私達も常に検索ユーザーに対して信頼を積み重ねていけるよう、サイト(ブログ)を運営していきましょう。
炎上を狙ったり、不快、嫌悪感を持たせるコンテンツを撒き散らさないのはもちろん、嘘やデマでユーザーを混乱させない、誠実かつ正確なコンテンツを提供する。
今までも、そしてこれからも信頼されることによって検索評価が上がっていきますし、それこそが真っ当なSEO施策とも成り得るのですから。
【SEO】Googleが検索品質評価ガイドラインを更新。攻撃的や不正確、ヘイトなコンテンツは低品質と扱われます - 検索サポーター